食品メーカーはやめとけと言われる理由8選|それでも向いている人の特徴と転職の実態

食品メーカーはやめとけと言われる理由8選|それでも向いている人の特徴と転職の実態
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この記事の監修

監修者のアバター        松岡浩二      

スーパーマーケット、生鮮業界、飲食業界など全ての【食】に関わる人の人生に役立つ情報を発信していきます。中の人は現役のスーパーマーケットSVをしています。

就職活動や転職を検討する中で、「食品メーカーはやめとけ」という声を耳にしたことがある方は少なくないでしょう。安定した業界というイメージがある一方で、働き方によってはネガティブな印象を持つ人もいるようです。

ただし、こうした声のすべてが正確な実態を反映しているわけではありません。食品メーカーと一口に言っても、大手総合メーカーから中堅の専門メーカー、食品工場まで幅が広く、職種によっても環境は大きく異なります。

この記事では、やめとけと言われる理由を具体的に整理したうえで、それでも食品メーカーに向いている人の特徴と、食に関わる仕事全般の選択肢についても紹介します。

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目次

食品メーカーがやめとけと言われる理由8選

給料が上がりにくい

食品メーカーは景気の影響を受けにくい安定した業界である反面、給与水準や昇給の幅が他業種と比べて控えめな傾向があります。特に中堅以下の規模では、成果が給与に反映されにくいと感じる方もいるようです。

給与水準を数字で見ると、厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」をもとに計算した年収の目安は、食料品製造業が約418万円で、産業計の約546万円を約128万円下回ります。

昇給はどうでしょうか。厚生労働省の「令和8年 民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」では、大手の食料品・たばこの妥結額は1万7,031円で、全体の平均の1万8,167円を1,136円下回りました。一方、賃上げ率は5.12%で平均の5.18%とほぼ同じです。率が低いというより、もとの賃金が低めな分だけ額が小さいといえます。

2026年の春の賃上げは、食料品・たばこが妥結額1万7,031円・賃上げ率5.12%、全体の平均が1万8,167円・5.18%であることを示す左右の横棒グラフ

大手メーカーであれば水準は高めですが、競争倍率も高く、入社後も配属先や職種によって待遇に差が出ることがあります。

研究・開発以外は地味な業務が多い

食品メーカーと聞くと、新商品の開発や企画といった花形業務をイメージしやすいですが、実際には品質管理・在庫管理・製造ラインの監視・ルート営業など、目立ちにくい業務も多くあります。

「食に携わるクリエイティブな仕事がしたい」というイメージで入社すると、実態とのギャップを感じやすい職場環境でもあります。

工場勤務はシフト制・体力仕事がきつい

製造ラインに配属された場合、工場によっては交代制・シフト制で働くことがあります。早朝・深夜・土日も稼働する工場もあり、生活リズムが安定しにくいと感じる方もいます。深夜の勤務には25%以上の割増賃金が必要です。

また、立ちっぱなしでの作業や重量物の扱い、低温・高温環境での業務など、体への負担が大きい職場環境もあります。デスクワークを想定して入社した場合、配属先によっては大きなギャップになることがあります。

厚生労働省の「令和7年 業種別死傷年千人率」によると、労働者1,000人あたりの休業4日以上の死傷者は食料品製造業が5.8人で、製造業全体の2.7人の約2倍です。2025年の食料品製造業の死傷者8,105人のうち、転倒が2,478人、はさまれ・巻き込まれが1,579人でした。暑さ・寒さなど異常な温度が原因の病気で休業した人も102人います。

労働者1,000人あたりの休業4日以上の死傷者は食料品製造業5.8人、建設業4.0人、製造業全体2.7人、全産業2.3人であることを示す横棒グラフ

転勤・異動が多い

大手食品メーカーでは全国に製造拠点や営業所を持つケースが多く、数年ごとの転勤がある会社もあります。家庭の事情やライフスタイルの都合で転勤が難しい方にとっては、継続しにくい環境になりやすいです。

労働政策研究・研修機構の「企業の転勤の実態に関する調査」(2016年実施)によると、総合職のほとんどに転勤の可能性がある企業は製造業で30.3%、全体で33.7%でした。製造業で最も多いのは「転勤をする者の範囲は限られている」の41.6%です。ただし正社員1,000人以上の企業では50.9%と高く、大きな会社ほど転勤の可能性は高まります。

総合職のほとんどに転勤の可能性がある企業の割合は卸売業53.0%、小売業35.9%、全体33.7%、製造業30.3%であることを示す横棒グラフ

異動についても、希望職種で入社しても数年後には全く異なる部門に移るケースがあり、キャリアの見通しが立てにくいと感じる方もいます。

ヒット商品を出し続けるプレッシャー

商品開発や企画・マーケティング職では、消費者の嗜好の変化に対応しながら継続的に新商品を生み出すプレッシャーがあります。食品トレンドの移り変わりが早く、一度ヒットした商品でも賞味期限は短いため、常に次の手を考え続けることが求められます。

また、開発した商品が市場に出た後、売上が思うように伸びなかった場合の精神的な負担を感じやすい職種でもあります。

食品ロス・廃棄のストレス

食品業界特有の悩みとして、廃棄や食品ロスに抵抗を感じる人もいるかもしれません。賞味期限の管理や返品・廃棄処理に日常的に関わる職種では、「もったいない」という感覚が慢性的なストレスになることがあります。

食への関心が高い方ほど、こうした側面に違和感を覚えやすいかもしれません。

農林水産省と環境省の推計によると、2024年度の事業系食品ロスは237万トンで、食品製造業が110万トン(46%)と最も多く、外食産業70万トン、食品小売業48万トン、食品卸売業9万トンと続きます。一方、2000年度と比べると57%減っていて、2030年度までに60%減らす目標が立てられています。

2024年度の事業系食品ロス237万トンのうち46%の110万トンが食品製造業で、外食が30%、小売が20%、卸が4%であることを示す円グラフ

キャリアパスが見えにくい

食品メーカーは働く人も転職で入る人も多い業界ですが、専門スキルが他業種で評価されにくい場合があります。製造・品質管理・食品営業といった経験が、異業種転職の場面でどこまで通用するか不透明なため、長期的なキャリア形成に不安を感じる方もいます。

経済産業省・総務省の「2025年経済構造実態調査」によると、食料品製造業で働く人は111万7,773人で、製造業の業種で最も多くなっています。厚生労働省の「令和7年雇用動向調査」では、2025年に食料品・飲料・たばこ・飼料製造業へ入職した一般労働者10万5,900人のうち、6万9,000人が転職者でした。

特に工場勤務が長くなると、オフィス系職種へのキャリアチェンジが難しくなるというケースも見られます。

変化が少なく成長実感を得にくい

業界の安定性は裏を返すと「変化の少なさ」でもあります。業務フローが確立されている職場では、改善提案が通りにくかったり、新しい取り組みへの腰が重かったりするケースがあります。

成長意欲の高い方や新しいことに挑戦したい方にとっては、停滞感を感じやすい環境になる可能性があります。

やめとけと言われても食品メーカーに向いている人

ここまで挙げてきたデメリットはあくまで傾向であり、全ての食品メーカーや職種に当てはまるわけではありません。

安定した雇用環境を最優先に考えている方は、食品メーカーの「景気に左右されにくい」という特性が強みになります。食品は生活必需品であるため、不況期でも需要が大きく落ち込みにくく、雇用が比較的安定しています。

工業統計表をもとに計算すると、リーマンショック後の2008年から2009年にかけて製造品出荷額等は製造業全体で21.0%減りましたが、食料品は2.0%減でした。ただし、厚生労働省の「令和7年雇用動向調査」では食料品・飲料・たばこ・飼料製造業の離職率は15.2%で、製造業全体の9.8%より高く、人の出入りは多い業界です。

また、食そのものへの関心が高く、モノづくりや品質にこだわりたい方にとっては、業務の中にやりがいを見つけやすい環境です。製造や品質管理の現場は、食の安全を支えるという使命感が働く動機になる方に向いています。

転勤を許容できる、あるいは希望する方にとっては、全国展開している大手メーカーの異動制度は幅広い経験を積む機会にもなります。

食品メーカー以外で「食」に関わる仕事の選択肢

食品メーカーへの就職・転職を迷っている方の中には、「食に関わる仕事は続けたいが、働き方を変えたい」というケースもあります。食に関わる職場は食品メーカーだけではありません。

スーパーマーケットの各部門

スーパーマーケットの青果・精肉・鮮魚・惣菜・ベーカリーといった各部門は、食に直接携わりながら日勤中心で働ける職場です。食品メーカーの工場勤務と比べると、深夜帯の勤務は少なめで、生活リズムを整えやすい点が特徴です。

業界3団体の「2026年スーパーマーケット年次統計調査」によると、標準的な店舗の閉店時間は21時台までが64.9%、23時以降(24時間営業を含む)が16.7%です。また、厚生労働省の「令和7年就労条件総合調査」では、年間休日が120日以上の人の割合は製造業70.9%、小売業29.2%です。夜の勤務や休みの条件は求人で確かめましょう。

惣菜や鮮魚などの加工技術は現場で身につけることができ、調理や食品加工の経験がある方にとっては即戦力として評価されやすいポジションでもあります。

食品加工・給食・社員食堂

食品工場よりも小規模な食品加工施設や、給食センター・病院・企業の社員食堂なども、食に関わる仕事として選択肢になります。業務内容が明確で覚えやすく、未経験からでも入りやすい職場が多い点が特徴です。

食品メーカーで感じていた「廃棄の多さ」や「大量生産への違和感」が少ない環境を求める方にとっても、検討しやすい選択肢です。

食に関わる仕事の求人を探すなら

食品・スーパー・生鮮業界に特化した求人を探す場合、総合転職サービスよりも業界専門のサービスを利用するほうが、条件に合った求人に出会いやすくなります。食に関わるキャリアを軸に、自分に合った働き方を探したいと感じたタイミングで、ぜひ一度求人を確認してみてください。

食品系の製造現場として食品工場のきつさについても別記事でまとめています。あわせてご覧ください。

まとめ

「食品メーカーはやめとけ」と言われる背景には、給与の上がりにくさ・工場勤務の体力的負担・転勤の可能性・キャリアの見えにくさといった課題があります。きついと感じること自体は珍しいことではありません。

食品メーカーへの不安が「働き方」や「環境」に起因しているなら、同じ食に関わる仕事でも、スーパーマーケットや食品加工・給食系の職場が選択肢になります。日勤中心の求人や未経験歓迎の求人もあり、食への関心を活かしながら働き方を変えることができます。

食に関わるキャリアの選択肢は、食品メーカーだけではありません。自分に合った環境を改めて整理してみることが、次のステップへの第一歩になるでしょう。

まずはどんな転職エージェント・転職サービスがあるのか知りたいという方は以下の記事でおすすめの転職エージェントを比較してご紹介しています。

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