食品工場の給料は本当に低い?年収・手当・昇給の実情をプロが解説

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監修者のアバター        松岡浩二      

スーパーマーケット、生鮮業界、飲食業界など全ての【食】に関わる人の人生に役立つ情報を発信していきます。中の人は現役のスーパーマーケットSVをしています。

「食品工場って給料が低いって聞くけど、実際どのくらいなんだろう」と気になっている方も多いのではないでしょうか。現場で働いていると、他業種と比べたときに自分の収入が妥当なのか、なかなか判断しにくいですよね。

この記事では、食品工場の平均給料から手当の実情、給料を上げるための具体的な方法まで、現場のリアルをもとにわかりやすくお伝えします。

「今の年収が低いのか知りたい」「どうすれば収入を上げられるか」そんな疑問にまとめてお答えしていきます。ぜひ最後まで読んでみてください。

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目次

食品工場勤務の平均給料・年収はいくら?

職位別・経験年数別の給料水準

食品工場で働く場合、給料は職位や経験年数によって大きく異なります。厚生労働省の統計では、製造の職種で経験0年の人の所定内給与額(残業代や賞与を除く月給)は平均20万9,100円です。

厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」によると、食料品・飲料・たばこ製造従事者(フルタイムで働く人)の月の給与は平均28万1,000円で、残業などの手当を除く所定内給与額は24万8,900円です。年間賞与などは59万5,400円で、ここから計算した年収の目安は約397万円です。

食料品・飲料・たばこ製造従事者の所定内給与額は月24万8,900円、残業・深夜などの手当は月3万2,100円、年間賞与などは59万5,400円で、年収の目安は約397万円であることを示す数字のパネル

経験を積んでリーダー・班長クラスになると月収も上がっていき、同じ統計で経験10〜14年は平均25万400円、15年以上は28万3,800円です。

工場長・管理職クラスになると年収はさらに上がることが多く、現場のキャリアアップが収入増につながる構造です。

ただし、同じ職位でも企業規模や地域によって差があります。厚生労働省の統計から計算した年収の目安では、従業員1,000人以上の企業と10〜99人の企業で約100万円の差があります。

差が大きいものの一つが賞与です。厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」で同じ職種の年間賞与などをみると、従業員1,000人以上の企業で78万7,100円、100〜999人で57万600円、10〜99人で43万9,300円でした。大手は小規模の約1.8倍で、年収の差の一因になっています。

手取りと基本給の現実的なギャップ

食品工場の基本給は、同年代の他業種と比べてやや低めに設定されているケースが多いです。しかし、実際の手取りを考えるうえでは各種手当の存在が重要になります。

食品工場では以下のような手当が支給されることが多く、月収全体を底上げしてくれます。

  • 夜勤・深夜手当(夜10時〜朝5時は25%以上の割増)
  • 交替勤務手当・シフト手当
  • 皆勤手当・食事補助

基本給が低めでも、夜勤や手当を含めると月収が数万円上がるケースもあります。

月給を確かめるときは、最低賃金も目安になります。厚生労働省の「令和8年度 地域別最低賃金」によると、最も高い東京都は時給1,280円、最も低い宮崎県は1,085円です。週40時間のフルタイム(月約174時間)なら、残業代などを除いた賃金で東京都は月約22.2万円、宮崎県でも月約18.9万円が必要で、これを下回るのは違法です。

一方で、手当が充実しているかどうかは企業によって大きく異なります。求人票の「基本給」だけで判断せず、諸手当の内訳まで確認することが、入社後のギャップを防ぐポイントです。

食品工場の給料が低い理由と業界の構造

なぜ食品工場は給料が低めなのか

食品工場の給料が低めになりやすい背景には、業界全体の利益構造が深く関係しています。食品は「生活必需品」であるがゆえに価格競争が激しく、メーカーが製品の価格を大幅に引き上げることが難しい状況にあります。

売価を上げにくい分、コスト削減の矛先が人件費に向きやすいという構造が、食品工場の賃金水準を押し下げる大きな要因のひとつです。

また、食品製造は機械化が進んでいる一方で、品質管理や手作業が必要な工程も多く残っており、多くの人手を必要とする「労働集約型」の産業です。人件費の割合が高くなりがちなため、一人ひとりへの配分が少なくなりやすい面があります。

統計にもこの特徴が表れています。経済産業省・総務省の「2025年経済構造実態調査」によると、食料品製造業の従業者は111万7,773人で製造業全体の14.7%を占める一方、製造品出荷額等は35兆107億円で9.2%です。働く人の割合に比べて出荷額の割合が小さく、人手を多く使う産業であることがうかがえます。

食料品製造業は製造業全体の従業者数の14.7%を占める一方、製造品出荷額等では9.2%であることを示す横棒グラフ

さらに、食品工場の中には大手メーカーの下請けや委託製造を担うところもあり、利益率が低くなりやすい面があります。元請け企業との価格交渉力が弱いと、利益が圧縮されやすく、結果として従業員の給与に反映しにくくなります。

他業種・他の飲食職との給料比較

厚生労働省の統計から計算すると、食品工場で働く人(フルタイム)の年収の目安は約397万円です。他の職種と比べると、どのくらいの位置にあるのか気になる方も多いでしょう。

以下に、同じ統計から計算した職種別の年収の目安を整理しました。

  • 食品工場スタッフ(製造の職種):約397万円
  • 飲食店スタッフ:調理は約379万円、給仕は約371万円
  • 販売店員(コンビニ以外も含む):約385万円
  • 営業職(全業界の平均で、食品メーカーだけの数字ではない):約661万円

飲食店スタッフと比べると、食品工場は夜勤手当や残業代が上乗せされるケースもあるため、実質的な手取りは近い水準になることもあります。

上の一覧は、厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」の職種別の数字から、月の給与×12に年間賞与などを足して計算した目安です(フルタイムで働く人)。販売店員はコンビニ以外も含み、営業は全業界の「その他の営業職業従事者」です。産業全体の約546万円と比べると、食品工場は約150万円低い水準です。

年収の目安は、営業(全業界)約661万円、産業全体約546万円、食品製造約397万円、販売店員約385万円、飲食物調理約379万円であることを示す横棒グラフ

同じ食品・飲食業界の中でも、営業職や品質管理などのポジションに移ることで、年収が大きく変わる可能性があります。現場での経験を活かしつつ、キャリアの幅を広げることが収入アップへの近道になることも多いです。

夜勤手当・残業代など手当面での実情

手当で給料を底上げできる仕組み

食品工場の基本給は決して高くありませんが、各種手当を合わせると月収が大きく変わることがあります。特に影響が大きいのが夜勤手当で、深夜時間帯(22時〜翌5時)は労働基準法により25%以上の割増賃金が義務づけられています。

夜勤専従や交替勤務のシフトに入ると、深夜に働いた時間の割増分が月給に上乗せされます。残業代も同様に、残業が多い月は手取りが数万円変わることがあります。

金額の目安も計算してみましょう。厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」では、食料品・飲料・たばこ製造従事者の所定内給与額は平均24万8,900円、所定内の労働時間は164時間で、時給にすると約1,518円です。25%の割増なら、深夜1時間あたり約380円の上乗せになります。残業などの時間は平均で月15時間でした。

そのほかにも、以下のような手当が設けられている工場は多いです。

  • 皆勤手当
  • 資格手当(食品衛生責任者・フォークリフト免許など)
  • 交通費支給(上限設定がある場合もあり)
  • 住宅手当(企業規模によって差がある)

基本給だけで判断するのではなく、シフト形態や手当の種類まで確認することが、食品工場の給与を正しく把握するうえで重要です。

福利厚生・待遇面での優位性

食品工場、特に大手食品メーカーや中堅以上の規模の企業では、給与水準が低めであっても福利厚生が充実しているケースが多く見られます。社会保険は法人なら加入が法律上の義務で、それに加えて退職金制度や企業年金が整っている職場も少なくありません。

厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、退職給付(一時金・年金)制度がある企業は、製造業で85.6%、宿泊業・飲食サービス業で42.2%でした(全産業は74.9%)。製造業全体の数字で、食品工場だけの数字ではありません。この項目は5年ごとの調査で、令和5年が最新です。

閉店の不安が飲食店より小さいと感じられる点も、食品工場で働く安心感のひとつです。食品は生活必需品であるため、景気の変動に左右されにくいといわれています。

また、社員食堂の利用や自社製品の割引購入・支給といった、食品メーカーならではの福利厚生も魅力です。日々の食費が抑えられることで、実質的な生活コストが下がるという側面もあります。

給与の額面だけで判断せず、こうした待遇面もあわせて見ることが大切です。転職を検討する際は、月収だけでなく総合的な条件で比較することをおすすめします。

食品工場で給料を上げるキャリアパスと転職の判断基準

昇進による給料アップの現実性

食品工場で給料を上げるうえで、最もオーソドックスなルートが管理職への昇進です。ラインリーダーや班長といった中間管理職を経て、工場長まで到達すると年収は大きく変わります。

工場長クラスの年収は、工場の規模によって大きく異なります。ただし、一般作業員からそこまで到達するには、長い年数のキャリア積み上げが必要になることが多いです。

食品工場だけの統計はありませんが、厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」で製造業全体(雇用期間の定めがない人)の所定内給与額をみると、非役職30万700円、係長級39万9,000円、課長級53万100円です。平均勤続年数は係長級19.8年、課長級22.6年で、昇進に長い年数がかかることがうかがえます。

製造業の所定内給与額は、非役職30万700円、係長級39万9,000円、課長級53万100円、部長級61万9,300円であることを示す横棒グラフ

また、昇進ポストの数は工場の規模に左右されるため、小規模な工場では管理職の枠自体が少ない現実もあります。社内での昇進を目指す場合は、職場の規模感や昇進実績をあらかじめ確認しておくことが大切です。

給料が理由で転職を検討すべき判断基準

給料への不満は転職を考えるきっかけとして自然なことです。ただし、給料だけを理由に転職を決めると、次の職場でも同じ悩みを繰り返すリスクがあります。

転職を判断する際には、以下のような視点を合わせて整理してみましょう。

  • 現職での昇給・昇進の見通しが具体的にあるか
  • 身につけたスキルが他社でも評価されるものか
  • 給料以外の労働条件(休日・残業・通勤)にも不満があるか

「今の職場で給料が上がる見込みがない」と感じたときが、転職を本格的に検討するサインです。自分のキャリアプランと照らし合わせながら、総合的に判断することが重要です。

判断に迷ったときは、食品・飲食業界に詳しいキャリアアドバイザーに相談するのも一つの手です。客観的な視点からアドバイスをもらうことで、判断の精度が上がります。

まとめ

食品工場の給料は、業界構造や企業規模の影響で低めになりやすい傾向がありますが、夜勤手当や資格手当を活用することで、実収入を大きく底上げできる可能性があります。

キャリアアップや転職を視野に入れることで、給与水準の改善につながるケースも多くあります。自分の現状と市場価値を正しく把握することが、最初の一歩です。

まずはどんな転職エージェント・転職サービスがあるのか知りたいという方は以下の記事でおすすめの転職エージェントを比較してご紹介しています。

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