食肉加工から転職したい人へ|きつさの実態と経験が活きる転職先の選び方

食肉加工から転職したい人へ|きつさの実態と経験が活きる転職先の選び方
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この記事の監修

監修者のアバター        松岡浩二      

スーパーマーケット、生鮮業界、飲食業界など全ての【食】に関わる人の人生に役立つ情報を発信していきます。中の人は現役のスーパーマーケットSVをしています。

「未経験でも始めやすい」「手に職がつく」として選んだ食肉加工の仕事が、「寒さと臭いと単調作業で消耗した」「年収が上がる見通しが立たない」という理由で転職を考え始める方は多いです。食肉加工の現場で身につけたスキルは確かに存在しますが、それをどこで活かすかを整理しないまま転職活動に入ると失敗しやすいです。

食肉加工で培った包丁技術・肉の目利き・衛生管理の感覚は、スーパーの精肉部門・食肉専門店・食品メーカーの品質管理で評価されるスキルです。スキルを正しく整理することが転職成功の第一歩です。

この記事では、食肉加工がきつい理由を整理した上で、転職で使えるスキルと次の職場の選び方を解説します。

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目次

食肉加工がきつい理由4つ

作業場が寒く、肉の臭いが体に染み付く

食肉加工の作業場は肉の鮮度を保つために室温を低く設定しているため、長時間の作業で体が冷えます。さらに生肉特有の臭いが作業着・髪・手に染み付き、退勤後も残りやすいという点が食肉加工特有のきつさです。

作業場は室温が低く保たれているため、寒さがどうしても苦手な方にはつらく感じられるかもしれません。肉特有の匂いが苦手な方や、匂いが残るのが気になる方も、向き不向きを考えておくとよいでしょう。

低温の背景には衛生の決まりがあります。消費者庁が掲載する「食品、添加物等の規格基準」は、食肉を10度以下で保存するよう定めています(細切りして凍結し容器包装に入れたものはマイナス15度以下)。室温を決めた基準ではありません。冷蔵庫や冷凍庫の中で働く作業場については、労働安全衛生規則が気温と湿度を半月以内ごとに1回測るよう事業者に求めています。

立ちっぱなしの単純作業が続き体力を消耗する

食肉加工はライン作業が中心で、スライス・カット・パック詰め・梱包といった決まった作業を立ちっぱなしで繰り返します。作業中は持ち場を離れにくいため足腰への負担が蓄積しやすく、単純作業の繰り返しによる精神的な疲弊も長く続けるうちに重くなります。

立ち仕事がほとんどで、同じ場所で同じ動作を繰り返す職場では、体力がないときにつらいと感じる人もいるかもしれません。

けがの統計もみておきましょう。厚生労働省の「令和7年 労働災害統計」によると、肉・乳製品の製造業で休業4日以上のけがをした人は1,039人で、転倒267人、切れ・こすれ197人、はさまれ・巻き込まれ168人の順でした。同省の死傷年千人率でも、食料品製造業は5.8と製造業全体の2.7の2倍以上です。

肉・乳製品の製造業の休業4日以上の死傷者1,039人のうち、転倒25.7%、切れ・こすれ19.0%、はさまれ・巻き込まれ16.2%、動作の反動など10.8%、墜落・転落8.3%であることを示す横棒グラフ

年収が低く昇給の見通しが立ちにくい

厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」から計算すると、肉製品の製造を含む食料品・飲料・たばこ製造従事者(フルタイム)の年収の目安は約397万円です。ライン作業中心の職場では特別なスキルや資格が給与に反映されにくく、年収が伸び悩むと感じる人もいます。

体への負担が大きい割に給与が見合っていないと感じ、転職を考える人もいるかもしれません。同年代の他業種との年収差が気になる場合は、次の統計も参考にしてください。

同年代で比べると差は広がります。厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」から年収の目安を計算すると、25〜29歳は食料品製造業が約360万円、産業計が約448万円で差は約88万円、50〜54歳は約504万円と約634万円で差は約130万円でした。食料品製造業全体の数字で、食肉加工だけの統計はありません。

フルタイムの年収の目安は25〜29歳で産業計約448万円、食料品製造業約360万円、50〜54歳で産業計約634万円、食料品製造業約504万円で、差が約88万円から約130万円に広がることを示す左右の横棒グラフ

ライン作業中心でキャリアアップが見えにくい

アルバイト・パートのライン作業では現場に立っているだけではキャリアアップが難しいのが実情です。ただし正社員として肉の切り分け技術・部門運営・マネジメントを経験した方は「手に職」状態となり、転職活動で十分なアピール材料になります。

雇用の形も確かめておきましょう。経済産業省・総務省の「2025年経済構造実態調査」から計算すると、従業者30人以上の事業所の常用労働者に占める有期雇用者の割合は、肉加工品製造業が43.3%、部分肉・冷凍肉製造業が37.1%で、製造業計の15.2%を大きく上回ります。応募先では正社員登用の有無も確かめましょう。

従業者30人以上の事業所の常用労働者に占める有期雇用者の割合は肉加工品製造業43.3%、食料品製造業37.5%、部分肉・冷凍肉製造業37.1%、製造業計15.2%であることを示す横棒グラフ

食肉加工で身につくスキルの整理

  • 包丁・カット技術(均等な切り分け・部位ごとの処理方法):スーパー精肉部門・精肉専門店・焼肉屋で即戦力になる
  • 肉の目利き・部位知識(牛・豚・鶏の部位特性・品質の見極め):食肉関連の販売・調理職で評価される
  • 衛生管理の感覚(温度管理・異物混入防止・HACCP意識):食品メーカーの品質管理職で直接活かせる
  • 計量の感覚(重さを見た目・感触で把握する能力):スーパーの量り売り・惣菜部門で活きる
  • ライン管理・マネジメント(正社員・リーダー経験がある場合):食品メーカーの製造管理職で評価される

食肉加工の経験が活きる転職先

スーパーマーケットの精肉部門

食肉加工からの転職先として最も直結するのがスーパーの精肉部門です。工場での包丁技術・肉の知識・衛生管理の経験がそのまま即戦力として評価されます。正社員であれば部門運営・発注・スタッフ管理へとキャリアを広げられます。

スーパーの精肉部門ではカット技術をそのまま使え、お客さんの反応を直接感じられる点にやりがいを感じる人もいるかもしれません。年収は会社によって変わるので、求人票で確かめましょう。

受け入れ先の状況も数字でみてみましょう。全国スーパーマーケット協会など業界3団体の「2026年スーパーマーケット年次統計調査」では、正社員が不足している部門に「畜産部門」を挙げた企業が43.8%ありました。一方、プロセスセンター(商品をまとめて加工する施設)を活用する商品カテゴリーも畜産が37.2%で最も多く、店でどこまで切るかは会社で違います。

正社員が不足している部門は水産部門57.6%、惣菜部門46.4%、畜産部門43.8%、青果部門43.3%、レジ部門25.6%であることを示す横棒グラフ

年収も確かめましょう。厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」から計算すると、フルタイムの年収の目安はスーパーを含む飲食料品小売業が約385万円、食料品製造業が約418万円でした。全職種の平均で、部門や会社によって変わります。

精肉専門店・食肉専門店

精肉専門店では部位の知識・目利き・カット技術が高く評価されます。スーパーよりも肉の専門性が求められる分、技術者としてのキャリアを深めたい方に向いています。長く続ければ独立・開業という選択肢も視野に入ります。

焼肉屋・焼肉チェーン

焼肉屋のキッチンでは部位ごとのカット・盛り付け・品質管理を担います。食肉加工で身についた部位知識・カット技術・衛生管理の感覚が直結するため、未経験として扱われずに入職できるケースがあります。焼肉屋のきつさについては焼肉屋がきつい理由の記事もあわせて確認してください。

食品メーカーの品質管理・製造管理

食肉加工で積んだHACCP意識・衛生管理・異物混入チェックの経験は、食品メーカーの品質管理部門で高く評価されます。工場での現場感覚を持つ品質管理人材は食品メーカーで需要があり、年収アップにつながるケースもあります。

資格の面では、食品衛生法により、ハムやソーセージなどの食肉製品の製造施設には専任の食品衛生管理者を置く決まりがあります。その製造業で衛生管理の業務を3年以上経験し、登録講習会を修了する道もあり、日本食品衛生協会の令和8年の講習会の受講料は28万3,800円です。HACCPに沿った衛生管理も2021年6月1日から原則義務です。

転職を成功させるための準備

スキルを言語化してから動く

「どんな肉をどう加工してきたか」「担当してきた工程と規模」を具体的に整理することで、転職書類でのアピール力が大きく変わります。「食肉加工しかやってきていない」という思い込みを捨て、自分のスキルを言語化することが第一歩です。

在職中に動き始めるのが鉄則

スーパーの精肉部門・食品メーカーへの転職は、現場経験を持った状態での応募が評価されやすいため、退職前から動くことが重要です。食肉加工業界は求人数が多く「辞めてもすぐ見つかる」と思いがちですが、希望する転職先への移行は在職中に活動を始める方が選択肢が広がります。

業界の大きさも数字で確かめられます。経済産業省・総務省の「2025年経済構造実態調査」によると、部分肉・冷凍肉製造業は890事業所・4万8,892人、肉加工品製造業は502事業所・3万5,887人です(2025年6月1日現在、個人経営を除く)。2024年の製造品出荷額等は約2兆5,154億円と約1兆2,872億円でした。

食品・生鮮業界への転職を検討しているなら、食品業界の転職エージェント比較記事もあわせて参考にしてください。

まとめ

食肉加工がきつい理由は、寒い作業場と臭い・立ちっぱなしの単純作業・低年収・キャリアアップの見えにくさという4つの構造的な問題に集約されます。一方で包丁技術・部位知識・衛生管理の感覚は確かなスキルとして転職市場で評価されます。

スーパーの精肉部門・精肉専門店・焼肉屋・食品メーカーの品質管理は、食肉加工の経験が直接活かせる転職先です。スキルを言語化し、在職中から動き始めることが転職成功の近道です。

まずはどんな転職エージェント・転職サービスがあるのか知りたいという方は以下の記事でおすすめの転職エージェントを比較してご紹介しています。

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